車を蓄電池として使えるか。設備の話だけでなく、暮らし方から判断します。
太陽光発電を検討していると、「電気自動車があるならV2Hを入れたほうがいい」という話を耳にすることがあります。車のバッテリーを家の電気に使う仕組みで、たしかに魅力的な発想です。ただ、どのご家庭にも当てはまる正解ではありません。車の使い方、家にいる時間帯、そして設置する家の条件によって、向き不向きがはっきり分かれます。ここでは、必要な機器と工事、停電時に何ができるのか、据置型の蓄電池とどちらを先に入れるべきかを、順に整理します。
V2Hは「Vehicle to Home」の略で、電気自動車に貯まっている電気を家に戻して使う仕組みのことです。通常、電気自動車は家から充電するだけの一方通行ですが、V2H機器を挟むことで充電と放電の両方向ができるようになります。
太陽光発電と組み合わせると、昼に屋根で発電した電気を車に貯め、夜にその電気で家を動かす、という使い方ができます。据置型の蓄電池でやっていることと基本的には同じです。違うのは、そのバッテリーが車として走りもする、という点です。
容量の面では、電気自動車のバッテリーは家庭用の据置型蓄電池より大きいものが一般的です。そのぶん、夜間にまかなえる時間は長くなります。ただし車が家にいなければ、その電気は使えません。ここがV2Hの最大の性質です。
「電気自動車を持っているから、すぐ家の電気に使える」わけではありません。次の三つがそろって初めて成立します。
設置場所は駐車場の近くに限られますし、機器から車までケーブルが届く配置になっている必要があります。建物の外壁に沿って配線を通すことも多く、外壁に穴をあける箇所の防水処理は後々の雨漏りに直結する部分です。私たちが屋根・外壁の会社として、ここを軽く扱わないようにしているのはそのためです。
V2Hを導入する動機として、停電時の備えを挙げる方は多くいらっしゃいます。実際、車に電気が残っていれば、家の電気をかなり長く持たせることができます。
ただし、条件があります。一つは車が家にあり、ある程度充電されていること。通勤で使っていて、停電が起きた時間に車が外にあれば、当然使えません。もう一つはどの範囲に電気を送れる配線にしてあるかです。停電時に家じゅうのコンセントが使える「全負荷」の構成にするか、あらかじめ決めた回路だけを生かす「特定負荷」にするかで、できることは変わります。どちらにも一長一短があり、費用も変わります。
また、エアコンやIHのように大きな電気を使う機器は、機器の出力によっては動かせないことがあります。この考え方は据置型の蓄電池と共通しますので、停電したとき、太陽光と蓄電池でどこまで使えるのかもあわせてご覧ください。
「車があるから安心」ではなく「車が家にあれば安心」
V2Hの備えは、車の在宅時間に左右されます。平日は昼間ずっと車が出ている、週末に長距離で使うことが多い、といったご家庭では、非常用電源としての確実性は据置型の蓄電池のほうが高いという見方もできます。どちらが優れているかではなく、生活のパターンに合うかどうかで選ぶものです。
いま太陽光を導入する場合、発電した電気は「売る」より「使う」ほうが家計に効きやすい構造になっています。単価を並べると分かりやすくなります。
売る電気と買う電気の単価(住宅用・10kW未満)
売電価格は2025年10月以降に適用される区分です(初期投資支援スキーム)。買う電気の単価は電力会社・契約プラン・燃料費調整・再エネ賦課金によって変わるため、おおよその目安として示しています。住宅用の調達期間は10年間です。
余った電気を売るより、自分の家で使ったほうが単価の差を取り込めます。V2Hはその「使う」受け皿を大きくする設備です。さらに、車の燃料代にあたる部分を屋根の発電でまかなえるという意味もあります。効果の大きさは走行距離や充電のタイミングによって変わりますので、ご家庭の使い方に沿って考える必要があります。
ご相談の中でいちばん多い迷いがこれです。判断の順序としては、次のように考えると整理しやすくなります。
まず、屋根に太陽光を載せられる状態かを確認する
発電する電気がなければ、V2Hも蓄電池も本来の力を発揮しません。屋根材の種類や下地の傷み具合によっては、先に屋根を直したほうがよい場合があります。屋根材別の相性と、載せる前に直しておきたい屋根で解説しています。
電気自動車を、いま持っているか・いつ買うかを決める
「そのうち買うかもしれない」段階でV2Hを先に入れると、使わない期間が長くなります。車の予定が固まっていないなら、据置型の蓄電池を先に検討するほうが素直です。
車が家にいる時間帯を書き出してみる
平日の昼に車が家にあるご家庭ほど、V2Hは活きます。逆に毎日通勤で出ているなら、夜に帰ってから放電する運用になり、昼の発電を車に貯めることはできません。
必要な容量から、設備の組み合わせを決める
夜間にどれだけの電気を使うかによって、必要な備えの大きさは変わります。考え方は蓄電池の容量は何kWhを選べばいいのかにまとめています。
両方を入れるという選択もあります。据置型で毎日の底上げをしつつ、車が家にあるときはV2Hで大きくまかなう、という形です。ただし費用は当然かさみますので、どこまでを設備で解決するかは予算とあわせて決めることになります。
太陽光やV2Hには、自治体ごとに補助制度が設けられていることがあります。金額や要件は地域によって異なり、募集の状況も変わります。たとえば東京都は既存住宅への太陽光に15万円/kWという水準を設けており、新築より手厚い扱いになっています。詳しくは東京都の補助金の記事をご覧ください。神奈川・千葉・埼玉についても、それぞれ別の記事で整理しています。
ご相談の際は、検針票(電気のご使用量のお知らせ)と、お車の車種、そして駐車場まわりの写真があると話が早くなります。現地では、屋根の状態、分電盤の位置、V2H機器を置ける場所、配線の経路までを見たうえでご提案します。相談・現地調査・お見積りは無料で、その場で契約をお願いすることはありません。
できません。車から家へ電気を戻すには、充放電に対応したV2H機器と、分電盤まわりの電気工事が必要です。また車種自体が放電に対応している必要があります。まずお車の対応可否からご確認ください。
車が家にある時間帯によります。日中に車で出かけることが多いご家庭では、停電や夜間の備えとしての確実性は据置型のほうが高くなります。生活パターンを伺ったうえで、どちらが合うかをご一緒に整理します。
外壁を貫通する配線が必要になる場合があります。開口部の防水処理が不十分だと、後年の雨漏りにつながることがあります。屋根・外壁を本業とする立場から、その処理まで含めて施工します。
同時に行うと配線や足場の面で無駄が少なくなります。ただし屋根に傷みがある場合は、先に屋根の補修を済ませてから載せるほうが結果的に長持ちします。現地調査のうえでご提案します。
ご相談・現地調査・お見積りまで無料です。
その場でのご契約は必要ありません。
株式会社ワイユー まごころ工務店/東京・神奈川・千葉・埼玉対応
屋根・外壁・太陽光をワンストップで自社施工
出典・参考:
売電価格(住宅用10kW未満・2025年10月以降の初期投資支援スキーム、当初4年間24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWh・調達期間10年):資源エネルギー庁 再生可能エネルギー
※V2H機器の設置可否・配線経路・停電時に使える範囲は、住宅ごとの条件によって異なります。本記事は一般的な考え方の説明であり、実際の可否は現地調査のうえ判断します。