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選び方

太陽光は南向きの屋根でないとだめなのか
東西でも成立する理由と、方角より大事なこと

公開日:2026年9月18日 株式会社ワイユー まごころ工務店
上空から見た日本の住宅街の屋根。さまざまな向きの切妻屋根が並ぶ。

屋根の上を毎日見ている会社として、方角の話を正直に書きます。

「うちの屋根は南を向いていないので、太陽光は向いていないと言われました」。ご相談のなかで、この言葉をよく伺います。たしかに南向きがもっとも条件がよいのは事実です。ただ、それは「南以外は載せても意味がない」という意味ではありません。実際には東西向きの屋根でも十分に成立するケースがあり、逆に南向きでも見送ったほうがよいお住まいもあります。この記事では、方角・傾き・影という三つの条件を整理したうえで、それより先に確認すべきことをお伝えします。

南向きの屋根が理想とされるのは、太陽の通り道の関係です

太陽は東から昇り、南の空を通って西に沈みます。一日を通してもっとも長く太陽の光を受け続けられるのが、南を向いた面です。太陽光パネルは光が正面から当たるときに最も効率よく発電しますので、南向きの屋根が「理想」と言われるのは、この単純な位置関係によるものです。

また、冬は太陽の通り道が低くなります。南向きの面は、この低い太陽の光も比較的受けやすいという利点があります。ですから、条件が同じ屋根が二面あって片方が南を向いているなら、そちらを選ぶのが自然です。ここまでは、どの会社が説明しても同じ結論になります。

問題は、その先です。「南向きが一番」という話と、「南向きでなければ意味がない」という話は、まったく別のものです。

東西向きの屋根でも太陽光が成立するのはなぜか

東向きの面は午前中に、西向きの面は午後に、それぞれよく発電します。一日の合計では南向きに及びませんが、発電しない時間帯があるわけではありません。屋根の形によっては東と西の両方に載せられることもあり、その場合は朝から夕方まで発電の山が続く形になります。

そしてもう一つ、見落とされやすい点があります。いまの太陽光発電は「売る」より「使う」ほうが家計に効く構造になっているということです。

売る電気と買う電気の単価(住宅用・10kW未満)

買う電気(電力会社から)およそ30円/kWh
売る電気(当初4年間)24円/kWh
売る電気(5〜10年目)8.3円/kWh

売電価格は2025年10月以降に適用される区分です(初期投資支援スキーム)。買う電気の単価は電力会社・契約プラン・燃料費調整・再エネ賦課金によって変わるため、おおよその目安として示しています。住宅用の調達期間は10年間です。

発電した電気を自宅で使えば、その分だけ電力会社から買う電気が減ります。つまり、買う電気の単価ぶんの価値があります。一方、余って売った電気は売電価格での評価になります。この差があるため、発電のピークが家庭の使用時間帯と重なっているかどうかが、合計発電量と同じくらい効いてきます。

東向き・西向きは、生活時間と噛み合うことがあります

朝に家族がそろって支度をするご家庭なら、東向きの発電が朝の電気を賄います。夕方に在宅して調理やエアコンを使うご家庭なら、西向きの発電がそのまま使われます。南向きの屋根で昼にたくさん発電しても、日中に誰もいなければ余剰として売る電気が増えるだけです。合計の発電量だけで優劣を決められないのは、このためです。考え方は売電より自家消費が基本になった理由でも詳しく説明しています。

逆に、北を向いた面については慎重に判断します。発電量が大きく落ちるうえ、パネルが反射した光が近隣のお宅に向かう可能性もあります。当社では北面への設置は原則としておすすめせず、ほかの面で必要な容量が確保できるかを先に検討します。

屋根の傾きと影は、方角と同じくらい結果を左右します

方角ばかりが話題になりますが、現場で見ていると、傾きと影のほうが影響が大きい場面は珍しくありません。

傾きについて

屋根の勾配が急なほど、南向きの有利さと北向きの不利さがはっきり出ます。逆に、勾配がゆるやかな屋根は、どの方角を向いていても条件の差が小さくなります。「東西向きだから」と心配されていた方の屋根が、実はゆるい勾配で、南向きとの差がそれほど大きくならないと分かることもあります。

また、勾配がゆるすぎる屋根では、雨で汚れが流れ落ちにくくなります。パネル表面に汚れが残ると発電に影響しますので、この点も現地で確認します。

影について

影は、方角よりも直接的に発電を止めます。隣家、電柱、樹木、そして自宅の煙突やドーマー(屋根から出た小さな窓)、アンテナなど、影の原因は身近なところにあります。

やっかいなのは、影が季節と時間で動くことです。夏の昼には何もかからないのに、太陽の低い冬の朝夕には隣家の影が屋根の下半分を覆う、ということが起こります。ですから、現地調査は「いま影がないか」ではなく、一年を通じてどう影が動くかという見方で行います。

影が避けられない場合でも、載せる位置をずらす、影のかかる区画を別系統にするなど、設計で影響を抑える手立てはあります。まず正確に把握することが先です。

方角より先に見るべきは、載せられる面積と屋根の状態です

屋根工事を本業にしている立場から申し上げると、方角の議論に入る前に確認すべきことが二つあります。

一つは、実際に載せられる面積です。屋根の面積がそのまま使えるわけではありません。端部には点検や安全のための余白が必要ですし、天窓や換気部材、屋根に登るための動線も避けます。図面上の面積と、実際に載る容量は別物だとお考えください。南向きでも面積が小さければ設置容量は限られ、東西の二面に分けて載せたほうが多く確保できることもあります。

もう一つが、屋根そのものの状態です。太陽光パネルは、屋根の上で長い年月を過ごします。下地が傷んでいる屋根、近いうちに葺き替えが必要な屋根にそのまま載せてしまうと、いざ屋根を直す段になってパネルの脱着費用が余分にかかります。雨漏りが起きていれば、原因の特定もしにくくなります。

屋根材によっても工法や相性が変わります。詳しくは屋根材別の相性と、載せる前に直しておくべき屋根をご覧ください。順番としては、屋根を整えてから載せる。これがいちばん無駄が出ません。

現地調査でお伝えしていること

1

屋根の向き・勾配・実際に使える面を測ります

図面と現況が違うことは珍しくありません。何面に、どの向きで、どれだけ載せられるかを実測で確認します。

2

影の出方を、季節と時間で見ます

周辺の建物や樹木の位置から、冬の朝夕まで含めて影の動きを想定します。避けられない影があれば、そのことも正直にお伝えします。

3

屋根材と下地の傷み具合を確認します

屋根工事が本業ですので、ここは本来の調査項目です。先に補修が必要なら、その順番でご提案します。

4

ご家庭の電気の使い方と突き合わせます

検針票を拝見して、朝型か夜型か、日中は在宅かを伺います。東西向きでも生活時間と噛み合うなら十分に成立しますし、噛み合わないなら蓄電池の容量もあわせて考えます。効果はご家庭の使い方によって変わりますので、一般論ではなくお住まいごとに試算します。

南向きでないから諦める、という判断をしてしまう前に、一度実際の屋根を見せていただければと思います。載せないほうがよいと判断した場合は、その理由も含めてお伝えします。相談・現地調査・お見積りは無料で、その場での契約はお願いしていません。

よくあるご質問

北向きの屋根には絶対に設置できないのですか?

技術的に不可能というわけではありませんが、発電量が大きく落ちるうえ、反射光がご近所に向かう懸念もあります。当社では原則おすすめせず、まず他の面で必要な容量が確保できるかを検討します。

東と西の両面に分けて載せると、費用は高くなりますか?

屋根面が分かれる分、架台や配線の手間が増える場合はあります。一方で設置できる容量が増えることもあり、総合的な判断になります。現地調査のうえ、面ごとの案を並べてご説明します。

隣に家が建つ予定があります。影が心配です。

将来の影まで完全に予測することはできませんが、用途地域や高さ制限からある程度の想定はできます。ご心配な事情があれば調査時にお聞かせください。設置位置の工夫で影響を抑えられる場合があります。

屋根の塗り替えを考えています。太陽光は同時にできますか?

むしろ同時にご検討いただくのが合理的です。足場を一度で済ませられますし、屋根を整えてから載せることで、後からパネルを外す費用も避けられます。屋根工事が本業ですので、まとめて承れます。

いまの制度で、試算します

ご相談・現地調査・お見積りまで無料です。
その場でのご契約は必要ありません。

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出典・参考:
売電価格(2025年10月以降の住宅用10kW未満・初期投資支援スキーム)は資源エネルギー庁が公表するFIT制度の区分によります。買う電気の単価は電力会社・契約プラン等により変動するため、おおよその目安です。
※屋根の向き・勾配・影に関する記述は一般的な考え方の説明です。実際の設置可否と発電の見通しは現地調査のうえ判断します。