停電時にどこまで動くかは、機種ではなく「配線の決め方」で変わります。
太陽光と蓄電池を検討していると、「停電しても安心です」という説明をよく聞きます。ただ、その「安心」の中身は商品によってかなり違います。家中のコンセントが使えるものと、あらかじめ決めておいた数カ所だけが使えるものがあるからです。どちらが良い悪いという話ではなく、ご家庭が停電の夜に何をしたいかで選び方が変わります。この記事では、その分かれ目と、契約の前に決めておきたいことを整理します。
停電が起きると、電力会社からの電気は家の中に入ってきません。そこで蓄電池が、ためておいた電気を家に流します。このときどの範囲まで電気を流すかが、あらかじめ機器と配線工事で決められています。大きく分けると二つです。
カタログには「停電時出力」といった言葉で書かれていることもあります。ここを読み飛ばしたまま契約すると、いざ停電したときに「二階のコンセントが使えない」「エアコンが動かない」といったことが起こります。停電時に何がどこまで動くのかという全体像は停電のとき太陽光と蓄電池でどこまで使えるのかでも説明していますので、あわせてご覧ください。
特定負荷型は、工事のときに「停電時に生かす回路」を選びます。たとえばリビングの照明と一部のコンセント、冷蔵庫の回路、Wi-Fiルーターのある場所、といった具合です。選んだ回路以外は、停電中はまったく電気が来ません。
限られた範囲にしか電気を流さないぶん、ためた電気の減りがゆるやかになりやすいのが特徴です。使える場所が絞られていることで、結果的に「必要なものを長く持たせる」方向に働きます。夜間の照明、冷蔵庫、スマートフォンの充電、情報を得るためのテレビやラジオ。この程度で十分と考えるご家庭であれば、特定負荷型でも不満は出にくいでしょう。
気をつけたいのは、回路の選び直しは後から簡単にはできないという点です。配線工事をやり直すことになるため、決めるのは設置前の一度きりだと考えてください。間取り図を見ながら、停電の夜に家族がどこに集まるかを具体的に想像して決めるのが現実的です。
全負荷型は、分電盤につながっている回路すべてに電気が流れます。二階の寝室も、洗面所も、普段どおりコンセントが使えます。「どこが使えるか」を事前に決めずに済むぶん、迷いは少なくなります。
全負荷型でも「いつも通り」になるわけではありません
家中のコンセントが生きることと、すべての家電を同時に動かせることは別の話です。蓄電池から一度に出せる電力には上限があり、エアコン・IHクッキングヒーター・食洗機・ドライヤーなど消費の大きい機器を重ねて使うと、出力の上限に達して止まることがあります。また、大きな電力を必要とする機器は、機種が対応していないとそもそも動きません。実際にどの機器が使えるかは、お使いの家電と機種の組み合わせで変わります。
もうひとつ、範囲が広い分だけ電気の減りも早くなります。家中が使えるからといって普段どおりに過ごすと、思ったより早く残量が減ります。日中に太陽光が発電していれば蓄電池へ充電し直せますが、曇りや雨が続けばその限りではありません。どれくらいの容量を選ぶかという話は蓄電池の容量は何kWhを選べばいいのかで整理しています。
打ち合わせの席で迷わないために、次の三つをご家族で話しておくことをおすすめします。
停電の夜に、どうしても止めたくないものを挙げる
冷蔵庫、照明、通信機器あたりは多くのご家庭で共通します。そのうえで、在宅医療の機器、小さなお子さまのための空調、仕事に使うパソコンなど、ご家庭ごとの事情を書き出します。ここに空調が入るかどうかが、特定負荷型か全負荷型かの大きな分かれ目になります。
何日もたせたいのかを決める
一晩をしのげればよいのか、数日の停電に備えたいのかで、必要な容量も、使い方の節度も変わります。長くもたせたい場合は、全負荷型であっても停電中は使う部屋を絞る、という前提で考えておくと安全です。
家の中のどこに機器を置けるかを確認する
蓄電池本体は屋外設置が中心で、設置場所の広さ、分電盤からの距離、直射日光や浸水の心配といった条件があります。希望する方式の機種が、その場所に置けるとは限りません。現地を見たうえで判断する部分です。
停電のときに蓄電池を充電し直せるかどうかは、太陽光が発電を続けられるかにかかっています。つまり、パネルを載せている屋根が健全であることが前提になります。私たちは屋根工事・雨漏り調査と修理を本業としており、NPO法人雨漏り診断士協会にも加盟しています。その立場から申し上げると、太陽光の検討で最初に見るべきは機器のスペックではなく、屋根そのものです。
屋根に金具を固定する工法では、どうしても下地に穴を開ける箇所が出ます。この貫通部をどう防水処理するかで、その後の雨漏りの有無が変わります。一方、屋根材をつかんで固定する工法や、金具を使わない設置方法など、穴を開けずに済むやり方もあります。どれを選べるかは屋根材の種類、葺き方、築年数、下地の傷み具合によって変わるため、現地を見ないと決められません。塗り替えや葺き替えの時期が近い屋根であれば、先に屋根を直してから載せるほうが、結果として手戻りが少なくなります。屋根材ごとの考え方は屋根の状態と太陽光の設置にまとめています。
屋根を直せる会社が太陽光まで手がけていると、「この屋根なら穴を開けない工法が使える」「ここは先に板金をやり替えたほうがいい」といった判断を、同じ現場の中で出せます。停電に強い家をつくるという話は、こうした地味な部分から始まります。
特定負荷型は必要なものを絞って長くもたせる考え方、全負荷型は普段の暮らしをできるだけ崩さない考え方です。費用も設置条件も違いますので、「家中使えるほうが良いに決まっている」と単純には言えません。停電時にどう過ごしたいかが決まれば、選ぶべき方向は自然に絞られます。効果の出方はご家庭の使い方によって変わりますので、検針票と間取りをお持ちいただければ、現地を拝見したうえでご提案します。相談・現地調査・お見積りは無料で、その場でのご契約はお願いしていません。
配線をやり直す工事が必要になるため、気軽に変えられるものではありません。設置前に間取りを見ながら、停電の夜に家族がどこで過ごすかを想定して決めておくことをおすすめします。
機種や配線の条件によります。大きな電力を使う機器は対応していないと動かず、動いても他の家電と重ねて使うと出力の上限に達して止まることがあります。お使いの家電を伺って確認します。
日射があれば発電し、蓄電池に充電できる構成が一般的です。ただし天候に左右されるため、曇りや雨が続く前提でも足りるかを考えて容量を選ぶと安心です。
可能な場合が多いですが、既設のパワーコンディショナーとの相性や設置スペースの確認が必要です。あわせて屋根とパネルの固定部の状態も拝見したうえでご提案します。
ご相談・現地調査・お見積りまで無料です。
その場でのご契約は必要ありません。
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出典・参考:
※本記事の内容は一般的な考え方の説明です。停電時に使える範囲や機器は、ご選択の製品・配線・設置条件によって変わります。実際の可否は現地調査のうえ判断します。